ソロナンバーの立ち上げ Step.3 パーソナライズ作業

ソロナンバーの立ち上げ Step.3 パーソナライズ作業

脚本分析をしナンバーの分解をしたら、いよいよ頭ではなく心を使う作業です。

パーソナライズ=役と俳優自身をリンクさせる作業の概要を解説していきます。

俳優の皆さんは、演じる役と自分との接点をどのように見つけ出しますか?それをどう演技に役立てますか?

前述のとおり、リアリスティック演技理論では「自分と役をリンクさせる作業は、意識的なアプローチであるべきだ。」という考え方があります。「なんとなく、たまたま今日の演技では役が降りてきた。」というような感覚を経験をしたことがある俳優さんは少なくないと思いますが、無意識な感性だけに頼ると「役を生きられた打率」は低くなりますよね。

ここで解説するリンク方法を試してみてください。三割打者になれるはずです。

五感を使った疑似体験。

これから説明する手順は、意識的アプローチ×無意識的探求です。役を生きるためには、意識的&無意識的両方の要素が重要です。どうミックスさせるか見ていきましょう。

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*ここから先はメンバー限定公開です。Actors Dockセッション&栗原の外部ワークショップ受講済みの方が閲覧いただけます。*

ここで、「視点」について補足説明しておきます。生身の人物には必ずその人物特有の視点が存在するはずです。生まれや育ち/現在の生活環境などから物事に対するその人独自の視点というものが生まれますよね?「あの人をどう思っている?」「この状況に対しての思いは?」「この食べ物は好き嫌い?」これらが視点です。この視点は、5Wを具体的に割り出すことである程度まで限定が出来ます。

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心と身体をある種のトランス状態に持っていくエクササイズを実施することにより、頭ではなく心を使ってより無意識な領域へと自分身体をチューニングします。酒もドラッグも催眠術も使わないでトランスします(笑)。

詳細はここでは解説しませんが、音楽や照明を使って、ネックダウンの状態=頭を使わず感性で存在している状態、に自分をチューニングします。

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この「追体験」と「疑似体験」の組み合わせにより、自分と役との境界線を薄くしていくのです。

パーソナライズ作業の効能とは?

俳優自身の人生の感情&感覚の記憶というものは、「リアル」なことですよね。単なる空想ではなく実体験から生まれたものです。一方、演じる人物が生きている世界は俳優にとっては「想像の世界」です。

役のロジックを仲介役として、リアルと想像の世界を行き来することで、リアリティーを持った演技へと向かうことが出来ます。

「俳優にとってイマジネーションは大切」。これは、多くの方が唱えることだと思います。私もこれは当然のことだと思います。そのうえで、もっと大切なのは…

1.ロジックに基づきイマジネーションを働かせることが大切。

2.その為には、ロジックを仲介として俳優のリアルと役の非リアルを掛け合わせる必要がある。

3.ロジックは役の探求中に使う道具であって、実際に演じている最中は手放す。

これらのことを大切にしながらパーソナライズ作業をすることで、「作家の意図に沿った人物像を体現しつつ、自分以外の誰でもない唯一無二の存在としていられる」=「役を生きる」ことが出来るのです。

パーソナライズについての概要説明はここまでです。次回からは、STEP4. 「インスピレーションの喚起」をする方法を解説していきたいと思います。