「ソロナンバーの立ち上げ」シリーズ 最終章 まとめ

今回のシリーズでは、5つのステップに分け「役を生き、心のある歌を歌うにはどういった手順を踏めばいいのか?」について解説しました。欧米で実践されているリアリスティック演技術をミュージカル歌唱に応用する栗原メソッドを説明させていただきました。
この栗原メソッドの特徴は2つです。
1.役と楽曲を論理的に分析&分解すること(ロジック)
2.役と自分を意図的にリンクさせるテクニックを用いること(パーソナライズ)
ロジック+パーソナライズ=リアリティー、これを達成する為の一つの方法を紹介しました。
最後に個人的なつぶやきを・・・
日本でミュージカル演技にリアリスティック演技論を適応させるのには様々障壁が存在すると思っています。それは、演じる&創る人々の持つ概念であったり、演劇界のシステムであったり、観客の求めるものであったり、そもそも日本文化そのものの持つ特徴であったり…。
「私個人も、ミュージカルにまどろっこしい論理を持ち込むのは好きではありません。だって、ミュージカルの楽しさって“本能のままに音やリズムを感じることにある”から。」
制約(ロジック)に縛られない演技・歌・ダンスはものすごく魅力的ですよね?自由な発想と感性を持つ子供たちや本能のままに生きる動物たちの姿には理屈抜きで感動させられてしまいます。出来ることなら、感性のままに本能で歌い踊る俳優の姿を見ていたいし、理屈抜きでミュージカルを浴びたい…。
でも…、
俳優という職業は、他者が創った役を自分を使って生きることであり、決して即興でその場で創造をするアーティストではありません。難しいです…。
ミュージカルは感性で演じるほうが楽しい、だけど、感性だけでは別人としては生きられない。
ジレンマですよね…。
そういった意味で、今回のシリーズが「枠組みの中で自由に感性のままに演じられる」手助けになれば嬉しいです。
しがらみの多い現代社会で、社会の一員としての役割を果たしつつも、子供のような柔らかい感性を持ち動物のように本能のままに生き続ける…。大変ですよね…。
ミュージカルはそれが出来る世界だと思います!
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