【ロジカル演出術】⑨ 稽古前準備 4. [ロードマップ作成]

【ロジカル演出術】⑨ 稽古前準備 4. [ロードマップ作成]

「ロジカル演出」における事前準備の最後の項目は【ロードマップ】を作成することです。

【ロードマップ】とは、「どのような段階を踏んで俳優を導くか?」の稽古プロセス構想、のことです。

ロジカル演出法では、稽古プロセスもロジカルであるべきです。「どうしたら俳優が血の通ったリアリスティックな演技に辿り着けるか?」「どうしたら観客に作品世界を的確に届けられるか?」を念頭に、俳優・スタッフと共に山登りする為の地図を描くことが演出家の役目です。

では、どんなポイントに着目してマップを作ればいいのか見ていきます。

  • 本読みにどのくらいの期間/時間を費やすのか?
  • シーン稽古以外で何をどのくらいやる?
  • 台詞はいつまでに覚えてもらう?
  • ブロッキングを始める時期は?
  • 通し稽古(荒通し)はどの段階に組み込む?
  • 通し稽古は何回くらいやる?

主にこれらのことを考慮に入れて、稽古期間中の時間の使い方の構想を練ります。

これは普通に演出家が当たり前のようにやっていることだと思いますが、これらのマップを作る時に「俳優が、【自分と役がリンクしたリアリスティックな演技】、を出来るように道筋を立ててあげる。」のを基準とすることがロジカル演出の特徴です。決して、自分の作りたいものを作るためにスケジュールを組み立てるのではなく、俳優が役を落とし込む過程を計算して構想を練るのです。

この記事ではロードマップの実際の具体例は記しませんが、上記の項目のうちの「シーン稽古以外で何をどのくらいやる?」について解説したいと思います。

シーン稽古以外に何をやる?

ここで言う「シーン稽古」とは、台本に取り組み台詞を発し動きを整理する、という一般的な稽古のことであり、それ以外の稽古とは、「役&シーンを深める作業」のこととします。

この「役&シーンを深める作業」で、欧米式のリアリスティック演技理論を基礎とした様々な演技エクササイズや方法論を実践することが、私の言う「ロジカル演出術」です。

行う内容は作品や役柄の特徴によりケース・バイ・ケースですが、私が考える有効なものは以下のようなものです。

  • 即興
  • ビフォー・アフター
  • センサリーワーク
  • アニマルエクササイズ
  • インナー・モノローグ
  • インタビュー
  • マジックif
  • 感覚・感情の記憶

即興やビフォー・アフターでは、脚本にはシーンとして存在しない部分(登場人物が生きているリアルな人生の一部)を探求出来ますし、センサリーやマジックifでは感覚を使ってインスピレーションを喚起し役に深みを与えることが出来ます。

これらの作業は、シーン稽古とは別に随時スケジュールに組み込んでいくのですが、その組み込み方や時間配分をある程度考えておくことが地図を作る作業のうちの重要な一つです。

以上が「ロードマップ」についての簡単な概要です。

次回は、「脚本分析結果を俳優の導きにどう使うか?」について書いていきたいと思います。